ケアリングは、ケア(care)と同義として用いられることもあるが、ケアの対象との関係性をより意識した概念といえる。人と人とが通じ合おうとすることであり、その人の成長・発達を助けるものであり、そして、それは相手を人間として尊重し、誠意と希望をもって信頼関係を発展させることであって、単に「世話」を意味するものではない。すなわち、その人をあるがままに受容するだけでなく、成長・発達の可能性をもつ人として尊重することである。
1980年代以降、ケアリング/ケアこそが看護の本質であり、他者に対する配慮に満ちた態度・行為であると考えられるようになった。ケアリング/ケアは多義的であり、看護職者と看護の対象である人々との相互関係の中でみられる感情や態度・行為であるという見解や、単なる関心や配慮ではなく人間の尊厳を守ることを目指した道徳的な理念であるとする見解もある。
看護におけるケアリングには、当然専門職としての知識や技術、態度が必要であり、これらを活用して、その人のニーズに適切にケアを実践することを意味している。そして、ケアリングによってもたらされるものは、その人らしい自己実現であったり健康生活の獲得であるが、一方、専門職者もまたこの経験を通して、専門職として、ひとりの人間として成長していくことである。
参考文献
1)Jean Watson (著)/ 筒井真優美, 飯村直子 (訳) :ワトソン看護におけるケアリングの探究―手がかりとしての測定用具, 日本看護協会出版会, 2003.
2)Jean Watson (著)/稲岡文昭, 稲岡光子(訳) :ワトソン看護論―人間科学とヒューマンケア ,医学書院,1992.
3)Milton Mayeroff/田村眞, 向野宣之(訳):ケアの本質―生きることの意味,ゆみる出版, 1987.

ケアリング
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